diff --git "a/source/_posts/2025/20251016a_Vue.js\351\200\243\350\274\211_2025_\343\202\222\345\247\213\343\202\201\343\201\276\343\201\231.md" "b/source/_posts/2025/20251016a_Vue.js\351\200\243\350\274\211_2025_\343\202\222\345\247\213\343\202\201\343\201\276\343\201\231.md"
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@@ -21,7 +21,7 @@ lede: "Vue.jsの魅力と可能性をさらに深く探るべく、フューチ
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| 10/16(木) | 長谷川 寛人 | [vee-validate + zod または vue-keycloak の話](/articles/20251016b/) |
| 10/17(金) | 小杉山 護 | [Vitest Browser Mode x Vue (x Storybook x MSW) の話](/articles/20251017a/) |
-| 10/20(月) | 中村 立基 | 【入門】Vueで始めるチャート分析 |
+| 10/20(月) | 中村 立基 | [【入門】Vueで始めるチャート分析](/articles/20251020a/) |
| 10/21(火) | 村田 靖拓 | TBD |
| 10/22(水) | 山本 竜玄 | Vueでモバイルアプリ開発 |
| 10/23(木) | 澁川 喜規 | DockerでVueアプリのビルド |
diff --git "a/source/_posts/2025/20251020a_\343\200\220\345\205\245\351\226\200\343\200\221Vue\343\201\247\345\247\213\343\202\201\343\202\213\343\203\201\343\203\243\343\203\274\343\203\210\345\210\206\346\236\220.md" "b/source/_posts/2025/20251020a_\343\200\220\345\205\245\351\226\200\343\200\221Vue\343\201\247\345\247\213\343\202\201\343\202\213\343\203\201\343\203\243\343\203\274\343\203\210\345\210\206\346\236\220.md"
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@@ -0,0 +1,344 @@
+---
+title: "【入門】Vueで始めるチャート分析"
+date: 2025/10/20 00:00:00
+postid: a
+tag:
+ - Vue.js
+ - 可視化
+category:
+ - Frontend
+thumbnail: /images/2025/20251020a/thumbnail.png
+author: 中村立基
+lede: "この記事ではVue.jsアプリケーションにチャート分析機能を実装するための、初心者向けの包括的なガイドを提供します。代表的な2つのライブラリ、vue-chartjsとvue-echartsを取り上げ、その概要から具体的な使い方、メリット・デメリット、そして実運用で考慮すべき点を解説していきます。"
+---
+# はじめに
+
+こんにちは、フューチャーアーキテクト株式会社 テクノロジーイノベーショングループ所属の中村立基です。
+
+[Vue.js連載](/articles/20251016a/)ということで、この記事ではVue.jsアプリケーションにチャート分析機能を実装するための、初心者向けの包括的なガイドを提供します。代表的な2つのライブラリ、vue-chartjsとvue-echartsを取り上げ、その概要から具体的な使い方、メリット・デメリット、そして実運用で考慮すべき点を解説していきます。
+
+# チャート分析とは
+
+現代のビジネス環境は、かつてないほど膨大なデータに溢れています。しかし、生データの集合体は、それ自体が価値を持つわけではありません。その真価は、データを解釈し、実用的な洞察を引き出すことで初めて発揮されます。このデータ活用の「ラストワンマイル」を担うのが、データ可視化、すなわちチャート分析です。
+
+伝統的に、チャート分析という言葉は金融市場で使われ、過去の価格変動パターンから将来の値動きを予測する手法を指してきました。現代のWebアプリケーションにおけるチャート分析は、`「どの製品カテゴリが最も売れているか?」` `「直近四半期のユーザーエンゲージメントの傾向は?」`といったビジネス上の問いに対して、視覚的に答えを提示します。これにより、ユーザーは数値の羅列からは見出すことのできない傾向、パターン、相関関係、異常値を直感的に発見できるようになります。
+
+専門のアナリストに頼らずとも、現場の担当者が自らの手で日常的な疑問を解決し、データに基づいた行動を起こせるようにすること、それが現代のWebアプリケーションにおけるチャート分析の価値です。
+
+# チャート分析のメリット
+
+アプリケーションにチャート分析機能を組み込むことは、単に見た目を良くする以上に下記の様なビジネスにおけるメリットがあります。
+
+- ***傾向とパターンの視覚的な把握***
+ - 生データをグラフなどで視覚化することで、変化に気づきやすい(異常値や新たなトレンドに気が付きやすい)
+- ***共通認識の醸成と連携強化***
+ - 同じチャートを利害関係者全員で見ることで、共通認識を持ち円滑にコミュニケーションを取れる
+
+# Vueでの利用方法
+
+このセクションでは、`vue-chartjs`と`vue-echarts`の導入方法と使い方を、サンプルコードを交えて紹介します。
+
+## 1. vue-chartjs
+
+vue-chartjsは、JavaScriptのチャートライブラリChart.jsをVueで手軽に利用するためのラッパーライブラリです。標準的なチャートを迅速に実装できるシンプルさが特徴です。
+
+### 導入方法
+
+vue-chartjsはchart.js本体に依存しているため、両方をインストールする必要があります。これはPeerDependency(仲間依存)と呼ばれる関係性です。
+
+```sh
+npm install vue-chartjs chart.js
+```
+
+### 使い方
+
+vue-chartjsを使用する際の重要なポイントは、vue-chartjsからチャートコンポーネント(例:Bar)をインポートするだけでなく、chart.js本体からも必要なモジュール(スケール、要素、ツールチップなど)をインポートし、ChartJS.register()メソッドで登録することです。
+(これはChart.jsのTree Shaking(不要なコードをバンドルから除外する仕組み)に対応するための必須のステップであり、つまずきやすい点でもあります。)
+
+以下は、棒グラフを作成する基本的なコンポーネントの例です。
+
+```html
+
+
+
+### データ構造
+
+vue-chartjsのコンポーネントは、主にdataとoptionsという2つのpropsを受け取ります。
+
+- chartDataオブジェクト: チャートに表示するデータを定義します
+ - labels: X軸の各項目を表す文字列の配列です (例: ['1月', '2月', '3月'])
+ - datasets: グラフにプロットするデータ系列の配列です。各オブジェクトが1つのデータ系列に対応します
+ - label: データ系列の名前(凡例に表示されます)
+ - backgroundColor: 棒グラフの色などを指定します
+ - data: labelsの各項目に対応する数値の配列です
+- chartOptionsオブジェクト: チャートの外観や挙動をカスタマイズするための設定です
+ - responsive: trueに設定すると、親要素のサイズ変更に応じてチャートがリサイズされます
+ - maintainAspectRatio: falseに設定することが多く、これにより親要素の高さと幅に合わせて柔軟にリサイズできます
+ - plugins: タイトル(title)や凡例(legend)、ツールチップ(tooltip)などのプラグインに関する設定をここで行います
+
+## 2. vue-echarts
+
+vue-echartsは、Apache EChartsをVueで利用するためのラッパーです。EChartsは、非常に多機能でカスタマイズ性が高く、大規模データセットの描画パフォーマンスにも優れたライブラリです。
+
+### 導入方法
+
+echarts本体とvue-echartsをインストールします。
+
+```sh
+npm install echarts vue-echarts
+```
+
+### 使い方:サンプルコード
+
+vue-echartsの最大の特徴は、チャートのすべての設定を単一のoptionオブジェクトに集約して渡す点です。また、バンドルサイズを最適化するために、必要なモジュールのみをインポートしてuse()関数で登録する「オンデマンドインポート」が推奨されています。
+
+以下は、vue-chartjsの例と同じ棒グラフをvue-echartsで作成するサンプルコードです。(Composition APIを使用)
+
+```html
+
+
+
+### データ構造
+
+vue-echartsでは、すべての設定がoptionオブジェクトに集約されます 。
+
+- chartOptionオブジェクト:
+ - title: チャートのタイトルに関する設定です (text、leftなど)
+ - tooltip: マウスオーバー時に表示されるツールチップの設定です
+ - legend: 凡例に関する設定です
+ - grid: チャート描画領域のグリッドに関する設定です(位置や余白など)
+ - xAxis: X軸に関する設定です (type: 'category'でカテゴリ軸、dataにラベル配列を指定)
+ - yAxis: Y軸に関する設定です (type: 'value'で数値軸)
+ - series: データ系列の配列です。各オブジェクトが1つの系列に対応します
+ - name: 系列名
+ - type: チャートの種類 ('bar', 'line'など)
+ - data: 数値データの配列
+
+# チャート表示例
+
+上記で紹介した以外のvue-chartjsで利用できる代表的なチャートは以下です。
+
+※画像は [vue-chartjs公式ガイドライン](https://vue-chartjs.org/examples/)より引用
+
+| チャート種別 | ユースケース | 表示例 |
+| :- | :- | :- |
+| 折れ線グラフ | ・月間売上高の追跡
・株価の推移
・Webサイトのトラフィック分析 |
|
+| レーダーチャート | ・個人のスキル評価
・製品の機能比較
・チームのパフォーマンス分析 |
|
+| 円グラフ |・市場シェアの表示
・予算の内訳
・アンケートの回答比率 |
|
+| ドーナツチャート | 円グラフに主要な数値を強調したい場合 |
|
+| 散布図 | ・広告費と売上の関係分析
・身長と体重の関係
・従業員の経験年数と生産性の相関分析 |
|
+| バブルチャート | ・プロジェクトのコスト/期間
・期待収益の比較
・製品の売上/利益率/市場規模の分析 |
|
+| ポーラーエリアチャート | ・月ごとの平均気温
・時間帯別のウェブサイトトラフィック
・曜日ごとの売上パターン |
|
+| ミックスチャート | ・売上(棒グラフ)と利益率(折れ線グラフ)の同時表示
・降水量(棒グラフ)と気温(折れ線グラフ)の比較 |
|
+
+::: note info
+vue-echartsでは上記に加え下記の様な高度なチャートも実装可能です。
+
+- ヒートマップ
+
+
+- 樹形図
+
+
+:::
+
+## チャートライブラリ毎のメリット/デメリット
+
+両者の長所と短所を比較します。
+
+| | vue-chartjs(Chart.jsベース) | vue-echarts (Apache EChartsベース) |
+| -- | :-- | :-- |
+| 学習コスト | ⭕️ 初学者でも利用しやすい | ❌️ 設定可能なオプションが膨大で学習コスト高 |
+| 機能バリエーション | ❌️ 標準的なチャート種別のみ | ⭕️ 高度なチャート表現が可能 |
+| カスタマイズ性 | ❌️ 少ない | ⭕️ 高い |
+| 軽量性 | ⭕️ 高い | ❌️ 低い |
+| 参考ドキュメント | ⭕️ 比較的豊富 | ❌️ 少ない |
+
+## ライブラリ利用時の考慮事項
+
+チャート機能を実装するにあたって、堅牢かつユーザーフレンドリーに構築するためには、いくつかの重要な点を考慮する必要があります。
+
+### パフォーマンス
+
+- **遅延読み込み (Lazy Loading)**
+ - 多くのチャートを含むページでは、VueのdefineAsyncComponentを使用してチャートコンポーネントを遅延読み込みすることで、初期バンドルサイズが小さく保たれ、チャートが必要になったときに初めてそのJavaScriptがロードされるため、初期表示速度が向上します。
+- **リアクティビティの管理**
+ - 非常に大規模で、かつ変更されることのない静的なデータセットを扱う場合、Vueのデータとして渡す前にObject.freeze()でオブジェクトを凍結させることで、Vueはそのオブジェクトをリアクティブにするためのオーバーヘッドをスキップし、メモリ使用量とCPU負荷を大幅に削減できます。
+- **アニメーションの無効化**
+ - リアルタイムでデータが更新されるチャートや、非常に大規模なデータセットを描画する場合、アニメーションを無効にすることで描画パフォーマンスが大幅に向上します。
+- **データの間引き**
+ - 500px幅のチャートに10,000点のデータをプロットするなど、ピクセル解像度に対してデータ点が多すぎる場合、描画するデータ点を間引く機能を利用することで、描画負荷を軽減し、パフォーマンスを向上させることができます。
+
+### レスポンシブデザイン
+
+canvas要素に描画されるチャートは、CSS要素のように本質的にレスポンシブではありません。その応答性は、親コンテナのサイズに依存します。常にチャートコンポーネントを `