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+この記事は、[Vue.js連載](/articles/20251016a/)の5本目です。
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+## はじめに
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+こんにちは。山本竜玄です。
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+モバイルアプリ開発と聞いて、どのような技術を思い浮かべるでしょうか。iOSならSwift、AndroidならKotlinといったネイティブ開発や、FlutterやReact Nativeといったクロスプラットフォームフレームワークが主流です。実際、2025年のクロスプラットフォーム市場ではFlutterが42%、React Nativeが38%のシェアを占めています[^1]。
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+一方で、Vue.jsでもモバイルアプリ開発ができることをご存知でしょうか。Webフロントエンド開発で人気のVue.jsですが、モバイルアプリ開発のフレームワークも複数存在します。既存のVue.jsスキルを活かしてモバイルアプリを開発できるため、Vue.jsの経験者が多いチームでは選択肢となりえます。
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+本記事では、2025年秋時点でのVue.jsモバイルアプリ開発フレームワークの状況を整理します。プロダクション環境で使える安定したフレームワークから、トレンド技術まで、調べた内容を紹介します。
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+## Vue.jsモバイル開発の全体像
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+クロスプラットフォーム開発市場は急成長しています。2025年の市場規模は124.5億ドルで、2032年には369.2億ドルに達する見込みです[^2]。
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+この市場の中で、Vue.jsはWebフロントエンド開発の人気フレームワークとして、モバイル開発にも選択肢を提供しています。FlutterやReact Nativeと比較すると、Vue.jsモバイルフレームワークの市場シェアは小さいものの、既存のWeb開発者チームでの有識者が多い場合には、モバイルアプリ開発への敷居が低いことは大きなメリットです。
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+本記事では、Vue.jsでモバイルアプリを開発できるフレームワークを調査し、以下のように紹介しています。
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+### 主要フレームワーク(4つ)
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+- [Ionic Vue](https://ionicframework.com/docs/vue/overview)
+- [Capacitor](https://capacitorjs.com/) + Vue
+- [NativeScript-Vue](https://nativescript-vue.org/)
+- [Quasar Framework](https://quasar.dev/)
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+これらは継続的にメンテナンスされており、GitHubでも活発な開発が確認できます。
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+### 中国市場向け(1つ)
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+- [uni-app](https://en.uniapp.dcloud.io/)
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+中国のDCloudが開発しており、WeChatなどのミニプログラムとネイティブアプリを同時展開できます。中国国内では900万人の開発者が利用しているらしいです[^4]。
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+### 新技術(1つ)
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+- [Lynx](https://github.com/lynx-family/lynx) + Vue
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+2025年3月にByteDanceが発表したフレームワークです。TikTokやCapCutの技術スタックから生まれました。Vue統合はプロトタイプ段階ですが、今後の動向は注目したいです。
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+### メンテナンス終了(3つ)
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+- [Weex](https://github.com/alibaba/weex)
+- [Vue Native](https://vue-native.io/)
+- [Onsen UI](https://onsen.io/vue/)
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+これらは開発が停止してます。
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+## 主要フレームワーク
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+主要な4つのフレームワークを紹介します。これらはいずれもVue 3に対応しており、GitHubで継続的に開発されています。
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+### Ionic Vue
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+Ionicは、Web技術でネイティブアプリを構築するフレームワークです。2013年にAngular向けにスタートし、現在はVue、React、Angularをサポートしています。
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+#### 基本情報
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+- 最新バージョン: v8.7.6(2025年10月)
+- ライセンス: MIT
+- GitHub: 52,101スター(2025年10月時点)[^5]
+- npm: 週間18,911ダウンロード[^6]
+- 公式サイト: https://ionicframework.com/docs/vue/overview
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+#### 特徴
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+- iOS、Android、Webの3プラットフォーム対応
+- Capacitorによるネイティブ機能アクセス
+- Vue 3とComposition API対応
+- Material DesignとiOSデザインの両対応
+- UIコンポーネントライブラリを提供
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+#### プロジェクト作成
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+Ionic CLIを使用することで、すぐに開発を開始できます。
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+```bash
+npm install -g @ionic/cli
+ionic start myApp tabs --type vue
+cd myApp
+ionic serve
+```
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+#### Vue.jsとの違い
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+Ionic Vueは、通常のVue.jsプロジェクトにモバイルアプリ特有の機能を追加します。主な違いは以下の3点です。
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+##### 1. IonicVueプラグインの追加(main.ts)
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+```ts
+import { createApp } from 'vue';
+import { IonicVue } from '@ionic/vue';
+import App from './App.vue';
+import router from './router';
+
+/* Core CSS required for Ionic components to work properly */
+import '@ionic/vue/css/core.css';
+
+/* Basic CSS for apps built with Ionic */
+import '@ionic/vue/css/normalize.css';
+import '@ionic/vue/css/structure.css';
+import '@ionic/vue/css/typography.css';
+
+/* Theme variables */
+import './theme/variables.css';
+
+const app = createApp(App)
+ .use(IonicVue)
+ .use(router);
+
+router.isReady().then(() => {
+ app.mount('#app');
+});
+```
+
+##### 2. IonRouterOutletの使用(App.vue)
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+`IonRouterOutlet`は、複数のページを同じアウトレット内にレンダリングし、ページ遷移アニメーションとライフサイクルを管理します。
+
+```html
+
+ + Start with Ionic + UI Components +
+